ロッシェル・カップ

顧客の日本人と話していたときのことであった。それはセミナーの後に開催されたディナーの席で、テーブルにはアメリカ人も同席していたので会話は英語で行われていた。テーマはもう忘れたが、みなとても楽しい時間を過ごしていた。 そのとき突然その日本人の彼が話題をさえぎり、「ああ、すみません、先ほどのhad は、have beenにすればよかった」と言い始めた。自分の英語の文法のミスに気づいて、そのことについて話し始めたのだ。そう言われると、確かに彼は文法の間違いをしていたが、正直なところ、彼がそう言うまで、私は彼のその間違いに全く気がついていなかった。それに、文法的に少し間違っていたとしても、彼が言っていたことは十分分かりやすかったので、その訂正は不必要だと思った。 また、彼が話しながら自分の英語のミスをそこまで意識していた、ということも驚きだった。実際問題として、ネイティブ・スピーカーは必ずしも100%正しい文法を使っていないし、ネイティブ・スピーカーだったら相手が言っていることは文法が少し間違っていても、理解できる。普通の会話であれば、話している相手は英語の先生ではないし、あなたの英語の上達の度合いを批評するより、互いにコミュニケーションをすることの方が重要である。しかしながらこの顧客のように、英語の文法を気にしすぎている日本人はとても多いと思う。